冬が近づいてくると、薬学共用試験(CBT/OSCE)の季節だなぁと感じます。
私が薬学共用試験(CBT/OSCE)の試験を受けるときは、不安でいっぱいでした。
むしろ、薬剤師国家試験よりも不安だったかもしれません!
おおげさに聞こえるかもしれませんが、あながち、うそというわけでもないんですよ。
なにせ、情報がすくない!
薬剤師国家試験だと、たくさん情報があふれていますが、特にCBTの方だと過去問が非公開なこともあり、どう対策をしていいかも困ってしまいます。
OSCEも、評価者に自分の薬剤師としての技能が、評価されてしまう…!
いままで座学ばっかりだったのに、ここにきて、いきなり実技といわれても(トホホ)
結果、薬学部内に流れる都市伝説のような、薬学共用試験(CBT/OSCE)のうわさに惑わされ、おろおろしたり…。
でも改めて考えると、そこまで恐れることはなかったなーと思うのです。
CBTやOSCEの目的や背景、全体像を踏まえると、案外、正体不明な謎の試験ではなく、意外に薬学生に優しく作られた試験であることがわかってきました。
それをできるだけわかりやすくまとめてみましたので、
「薬学共用試験(CBT/OSCE)って何!?超不安!」
とおもっているあなたの不安を解消できたら幸いです。
目次
薬学共用試験(CBT/OSCE)とは
薬学部が4年制から6年制へ移行しました。
そのとき、新たに薬学部5年生は、病院と薬局に実務実習に参加する制度が導入されました。
ただ、まだ薬剤師免許を持っていないただの学生を、臨床現場に送り出すとは、いかがなものか、という議論があがりました。
そこで、一定の知識と技能があることを確認できた学生には仮免許を発行して、現場に送り出そう!
といって始まったのが、薬学共用試験です。
薬学共用試験は、2つにわけられ、それぞれ
- 知識を試す試験→CBT
- 技能を試す試験→OSCE
と呼ばれています。
薬学共用試験(CBT/OSCE)の実施時期
CBTもOSCEも、4年生の1~12月に2ヶ月間で、かつ各大学が設定した日に実施されます。
薬学共用試験(CBT/OSCE)の合格率
あなたも、ここは一番気にしているところではないかと思います。
薬学共用試験の公式ホームページから平成27年度における73大学全体の合格率を見てみると…
- CBT→98.37%(96.84%)
- OSCE→99.93%(98.42%)
※()内は本試験で一発合格した割合。
つまり、ほぼ100%近く合格していることがわかります!!
ちなみに、ほかの年度も、合格率はほとんど変わりません。
もはや、対策をしなくても受かるのではないかと思ってしまう数値ですね(苦笑
ただ、ここで注意してもらいたいのは、ここで出ている数値は、あくまで全体の合格率であるということです。
それぞれ別の大学にいた私の友人の話を聞くと、
A薬剤師「大学のCBT/OSCEの合格率は100%だったよー」
B薬剤師「うちのところは、60%ぐらいだった…」
といった感じで大きく意見が分かれていました!
さすがに6割は、全体の数値から見ると低すぎる気はしますが…。
大学によって合格率に差があることは確かなようなので、自分の大学の合格率はどうなのか、大学の教授や、先輩に聞いておくのがより確実でしょう。
さて、ここから先は、CBTとOSCEそれぞれにわけて、特徴や対策をお話していきたいと思います。
CBT
CBTはComputer-Based Testingの略です。文字通り、パソコンを使って、薬剤師としての知識を問う試験です。
パソコンの操作が必要なので、やや戸惑ってしまうかもしれません。
ただ、4年生の7~9月中に、体験受験をすることができます。
そこで、本番と同じ環境で、パソコンの操作法を教えてもらうことができます。
出題範囲
3つのゾーンから、計310問出題されます。
- ゾーン1(物理・化学・生物)・・・105問
- ゾーン2(病気と疾病)・・・105問
- ゾーン3(衛生・実務・倫理・法規)・・・100問
難易度
共用試験の公式ホームページによれば、しっかり、出題範囲を勉強していれば、70~80%の学生が正解できるとされる問題で構成されているようです。
出題形式
5つの問題から1つ正解(あるいは不正解)を選択します。
パソコンにしおり機能がついているので、解けない問題は後回しにすることも可能です。
また、隣で問題を解いている人と、異なる問題がランダムに出題されるので、カンニングはできません。
制限時間
各ゾーンはそれぞれ2時間です。
1問あたり、1分程度で解く計算になります。
ただ、試験開始1時間を経過したら、途中退室が可能になります。
実際、途中で抜けていた人も多く、そこまで時間がタイトという印象はありませんでした。
考えさせる問題というよりも、単純に「知っているか、知っていないか」という問題が出題されるためでしょう。
合格基準
全310問中180問(60%)以上正解で合格です。
薬剤師国家試験と違い、各ゾーンにおける足きりがないので、得意分野でガンガン稼げば合格に近づきます。
学生全体の70~80%が正解できる(ハズの)問題が出題される試験で、正答率が60%で合格なのですから、CBTは落とすための試験ではないことがうががえますね。
CBTの対策での課題
CBTの対策ですが、CBT自体ほかのテストに比べて少し特殊な状況にあるので、少しやりにくさを感じます。
理由は、
- CBTの開催時期
- 問題が公開されない
この2点です。
CBTの開催時期
繰り返しになってしまいますが、CBTが実施されるのは、4年生の12~1月の間です。
この時期はちょうど、学内の定期テストと重なってしまい、CBT対策に打ち込むことは難しいです。
CBTの問題は非公開
CBTの問題は、非公開です。
受験した学生も、ほかの人に試験の内容を話してはいけないことになっていて、誓約書まで書かされます!
なので過去問なしに、対策をしなくてはなりません。
CBTの攻略法
CBTは、時間的にも、過去問へのアクセスへも制限があります。
その限られた中で、私がどう対策したのか、ご紹介しますね。
参考書・問題集を勉強
過去問は非公開ですが、参考書や問題集は、各出版社から出されています。
わたしはその中でも薬ゼミの
コアカリ・マスター・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・問題集
コアカリ重点ポイント集・・・・・・・・・・・・・・・・・・・参考書
を使っていました。
過去問は非公開ですが、その割りに、自分が体験受験や実際の試験で受けたのと、同じような問題が掲載されていました(笑
CBT対策はとにかく時間がないので、私は、最低限コアカリ・マスター(問題集)を何回も繰り返し勉強すれば十分ではないかと思います。
(問題集を繰り返し勉強する方法は、【関連記事】【カンニングがコツ!?】薬剤師国家試験対策ー過去問の勉強法
で詳しく解説しているので、過去問をコアカリ・マスター(問題集)に置き換えて実践してみてください!
CBT対策の講座に参加する
CBTが近づいてくると、教授が対策講座を開いたり、外部から講師を招待しての授業が行われることがあります。
なかなか自分でCBTを学習する機会は取れないと思うので、こういう機会にしっかり学んでおけるとお得です。
さて、次はOSCEの対策を見てみましょう。
OSCE
OSCEとはObjective Structured Clinical Examination;客観的臨床能力試験の略です。
薬剤師としての態度や技能を問う試験です。
課題
下の1~5の領域から、それぞれ1ないし2つの課題(計6課題)が出題されます。
- 患者・来局者応対
- 薬剤の調製
- 調剤鑑査
- 無菌操作の実践
- 情報の提供
試験直前まで、どの課題が出題されるかはわかりません。
ただし、事前に大学の実習の時間に、すべての課題を練習することができるので、そこでポイントをしっかりおさえておきましょう。
制限時間
各課題について、
課題閲覧時間・・・1~2分
実技時間・・・5分
OSCEは短時間に、項目がびっちりつまっているので、CBTに比べてかなりタイトな感じがしました。
合格基準
6つの課題それぞれについて、2名の評価者が評価。
評価項目には細目評価と概略評価があります。
- 細目評価・・・20前後の項目があり、「はい(良い)」あるいは「いいえ(悪い)」で評価
- 概略評価・・・全体の流れなどを1~6点の6段階で評価
6つすべての課題で、細目評価が平均70%以上かつ概略評価で評価者2人の合計が5点以上となって晴れて合格となります。
※ここでポイントなのは、OSCEは、減点式ではなく、加点式で評価されるということです!
つまり、正しいことをすれば評価されるし、仮に、緊張のあまり変なことをしても、減点にはならないということです。
私の大学にも、緊張のあまり、軟膏調剤の課題で、軟膏ベラをゴミ箱へ投げ捨ててしまった(!)学生がいましたが、特に問題なく合格していました。
多少順番が前後しても、変なことをしてもOKなので、評価項目に書かれていることは、どんどん実践しましょう!
OSCE合格のポイントは評価者の視点
OSCEの評価者って具体的に誰かといいますと、学内外の教員や薬局や病院薬剤師の方々です。
実際にそのような評価者にお話を聞かせていただくと、みなさん口をそろえて、
「OSCEは落とすための試験ではない」
とおっしゃいます。
皆さん自分も薬学生だった経験があるわけですし、まだ調剤や監査の経験のない学生がうまくできっこないことは、よーく存じ上げているそうです(苦笑
できないからこそ、5年生の実務実習で実務を体験させたいわけで…。
その前提条件となるOSCEで、学生を落としたくはないわけです。
だから、多少な変なことをしている学生をみたり、内心
「実際、薬剤師免許をとってから、現場でこんなことをしていたら即クビだろ!」と思っていたとしても(←これは、評価者を担当した、病院の薬剤部長が実際に言っていたことです)
かろうじて評価項目の評価対象になることをしていたら、なんとか評価してあげようと思うのが、評価者のご意見のようです。
まとめ
- CBT/OSCEの合格率はほぼ100%(ただし、大学間の格差あり)
- CBTの対策は、勉強時間、過去問へのアクセスへの制限あり!
- CBTの対策は問題集と学内外のセミナーを中心に
- OSCEは大学で学んでこなかった実技の試験。うまくいかないのは当たり前!
- OSCEは加点方式なので、失敗しても気にせずどんどん攻めよう!
- CBT/OSCE、どちらも、落とすための試験ではない!