これから進路を考えるあなた。
「医学部と薬学部」
将来どっちに入るのがいいの?
そう思ってこの記事にたどりついたのだと思います。
一般的には当然「医学部」の方が圧倒的に優勢でしょう。
- やりがい
- 社会的地位
- 給与
- 将来性
これらの理由から「入るなら薬学部より医学部の方がいい!」と考える人が多いようです。
私も昔はそのように考えていました。
しかし実際に6年間薬学部で勉強し、医療従事者として社会経験を積んだ今となっては、
自分に合っているかどうかが一番大事と思うようになりました。
いくら世間一般で良いといわれる仕事でも、自分に合わないと続けていくのが難しいですし、辛くなります。
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医学部も薬学部も6年間勉強しなければなりません。
その間中ずっと自分に合わないことをし続けることになると非常に辛いです。
また就職した後は定年するまで約40年、医師あるいは薬剤師として働き続けるワケですから仕事との相性はとても大事です。
そこで今回は、医学部と薬学部の違いをイメージしやすくするために
- 入学までの過程
- 学校生活
- 就職したあと
でそれぞれ比べてみました。
将来を真剣に考えてみるあなたの参考になれば嬉しいです。
受験
まず受験を控えた皆さんに一番身近なお話しからしていきます。
そもそも医学部や薬学部に入るためには入試をパスしなければいけません。
医学部と薬学部の受験科目を比べると、
医学部の方が幅広く勉強しなくてはいけないので大変です。
医学部受験を考えるのであれば、
- 英語
- 数学(数ⅠA,ⅡB,ⅢC)
- 理科(生物,化学,物理の中から2つ)
勉強する必要あります。
赤字で示したところは薬学部との大きな違いです。
薬学部の場合、基本的に数学でⅢCは出題されません。
数ⅠA,ⅡBの勉強だけで大丈夫です。
また理科も2科目選択する必要はなく化学だけ勉強すればいいところが多いです。
つまり、
「苦手な科目は特にない。全部まんべんなく勉強できる」
という方なら医学部
「苦手科目は多いな。特に数ⅢCは難しなぁ」
という方は薬学部に向いているかも知れません。
ただ、どちらの学部に入学するにせよ、日々勉強と国家試験の準備がありますから、勉強自体あまり苦手ではないという人がオススメです。
*上記で述べた受験科目はあくまで一般的な傾向です。
各大学や入試の方式によって必要とされる科目や学習範囲がかわってくるので事前に大学HPをみたり募集要項を取り寄せたりして調べるようにしてくださいね!
大学生活
どちらの学部も文系学部とは違って自由なキャンパスライフがないという点では共通しています。
時間割が高校生並みにバッチリ組まれているからです。
しかもほとんどが必修科目なので、得意科目だろうが、苦手科目だろうが、試験で合格点をとらなければいけません。
必修科目を落とすと進級や卒業ができません。
(それでもみんなうまいこと時間を作って部活やバイトなどをこなしています)
それに卒業するだけではなく、医学部も薬学部も国家試験に合格しなければ、医師・薬剤師として活動することができません。
(現役医学生と薬学生の国家試験の合格率は8~9割となっており、弁護士などの他の資格職に比べれば高いといえます。)
このようにどちらもカリキュラムがハードであることは共通していますが、次のような違いもあります。
学習内容
医学部も薬学部もおなじ医療系の分野なので学習範囲はかぶっています。
ただ、どこに重点を置くかということが違っています。
医学部は人体の構造を学び、病気の治療や予防に主眼が置かれます。
薬はその一部という扱いです。
一方薬学部は薬を中心に学びます。
もちろん人体の構造や病気についても薬物治療などといった分野で学びますが、医学部ほど突っ込んだ内容までは学びきれないという印象です。
医学部の方が薬学部よりも学生のうちから実践の治療を意識して勉強をしている印象があります。
実務実習
実務実習というのは実際の医療現場(病院や薬局)に学生が訪問し、現場の知識や技術を学ぶことをいいます。
ただ現場で学んで終わりではなく、日々のレポート作成もあります。
医学部では4年生の冬から6年生の1学期まで、72週間にわたる実習が課されます。
1年が約52週間なので単純計算で1年以上、実際の医療現場で実習をしていることになります。
一方薬学部では病院と薬局の実習をあわせて22週間しか実習に行きません。
医学部の1/3程度です。
実習は実際の医療現場に行くので緊張感がありますし、学校と違って動き回るので体力も使います。
実習先が厳しいと指導者から怒られることもあるでしょう。
精神的強さと体力が求められます。
この実習期間内で自分の進路を決めていくことになるのです。
就職活動
就職活動は医学部も薬学部も今のところそこまで苦労することはありません。
医学部はマッチング制度があり、かならずどこかの病院に配属することは約束されています。
また、薬学生も薬剤師免許があれば、病院や町の調剤薬局で働けます。
調剤薬局はコンビニより数が多いといわれていますし、少子高齢化で医療職の需要は高く、人手も不足しています。
また仮に実務実習を通して薬剤師の仕事が向いていないと思っても、製薬メーカーや一般企業、行政ではたらく選択肢もあります。
これらの職種は応募枠が少ないので競争は激しいですが挑戦する価値はあるでしょう。
新人研修
医学部の場合は、卒業したらすぐに医師として独り立ちできるわけではありません。
卒業後は2年間のインターン制度があり、研修医として各診療科を順番にまわってひととおり知識を身につけます。
その2年が終了した後も、更に専門的な知識を身につけるために3~5年間の専門医研修プログラムによる研修を行います。
日々勉強ですね。
また、学校ではまなび切れなかった知識や実際の手技を指導者や先輩に直に教えてもらうわけですから、上下関係もしっかりしていて、苦労する面も少なくないでしょう。
一方薬剤師の場合、インターン制度はありません。
病院に勤める場合、インターンを採用している場合もあるようですが、薬局に勤める薬剤師の場合は関係がありません。
インターン制度がない代わりにそれぞれの病院や薬局で新人研修は行われていますがかなりバラツキがあります。
職場環境にもよりますが、新人時代でも医師ほどは上下関係がはっきりしたものではなく、資格があれば一律扱いという印象があります。
給与
医師と薬剤師では給与に大きな差があります。
薬剤師とその他医療従事者の年収比較によると
医師の平均年収…約1200万
薬剤師の平均年収…約540万
と倍以上の違いがあります。
入学金でも倍の差がありましたが、年収でも差がはっきり出ます。
この点医師は魅力的な仕事といえますね。
単純に年収で仕事の内容を比較することは難しいのですが、
それでも、同じ医療職で給料が倍近くことなるということは、それだけ仕事の責任に差があると考えられます。
患者の治療には医師が責任を持っています。
人の命に関わることですから責任は重大ですよね。
その重圧に耐えられるひと、あるいはさらっと受け止められるひとでないとなかなか勤まらないでしょう。
また日々勉強も必要です。
業務時間外の勉強時間を考えると、医師はそこまで高い年収ということではないかもしれませんね。
まとめ
医学部と薬学部の違いいかがでしたか?
2つの学部の違いを踏まえて自分がどっちがよさそうかイメージできましたか?
あるいは、医学部と薬学部で迷っていたけど他の学部にしようかなと思ったかもしれませんね。
学部選びは将来を決める非常に重要なことです。
色々な意見を参考にしてじっくり考えて下さいね。
このブログが少しでもお役に立てれば幸いです!